無投票となった松山市長選の立候補者ポスター掲示板で、候補者のポスターの上に「無投票」と書かれたシールが貼られている。掲示板を速やかに撤去するのが通例だが、経費削減などのために取られた苦肉の策。20日に投開票される知事選の掲示板と同時に撤去されるまで、暫定的な措置として実施されている。(福永健人)

「無投票」と印刷されたシールが貼られた松山市長選の掲示板(左)。知事選の掲示板(右)と合わせて撤去される(松山市で)
「無投票」と印刷されたシールが貼られた松山市長選の掲示板(左)。知事選の掲示板(右)と合わせて撤去される(松山市で)[コピーライト]?読売新聞

 野志克仁氏(55)が4選を決めた告示日の13日夜、松山市の繁華街にある掲示板では、野志氏のポスターを隠すようにシールが貼られた。市内全638か所の掲示板で17日までに同じ対応が取られ、知事選後に2種類の掲示板が撤去される。

 県選挙管理委員会によると、掲示板の撤去時期に関する公職選挙法の規定はなく、無投票の場合、予定されていた投開票日を待たずに片付けられる。5月の大洲市長選では、無投票が決まった後に撤去された。

 松山市長選が無投票になったのは戦後初。無投票の対応を想定していなかった市選管は、追加費用を抑えるなどの目的で掲示板をすぐに撤去せず、シールで対応することにした。

 当選後に選挙用ポスターを掲示し続けると公選法が禁じる「期間外の選挙運動」に抵触するほか、当選者が無投票で決まったことを市民に知らせる必要があった。

 市選管は知事選と市長選の掲示板を同時に設置、撤去する内容で業者と契約している。別々に撤去すれば、100万円以上が追加で必要になるが、シールなら追加負担を53万円に抑えられた。

 市選管の小田克己次長は「ダブル選で片方だけ無投票になった事例が見つからず、独自に対応を検討した。市長選は無投票となったが、知事選は行われるので、選挙への関心が高まるきっかけになれば」としている。

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